全企業でストレスチェック義務化:働く人々のメンタルヘルスを守る新たな取り組み
2024年9月30日、厚生労働省は、従業員50人以上の事業所に義務付けられていたストレスチェックの対象を、従業員50人未満の小規模事業所にも拡大する方針を発表しました。この決定は、メンタルヘルス対策の強化を目指したものです。これにより、日本国内の全企業が対象となり、約2,893万人の労働者が新たにストレスチェックの対象となります。
ストレスチェック制度とは?
ストレスチェックは、従業員が自身のストレス状態を把握するための検査で、2015年12月から従業員50人以上の事業所で年1回の実施が義務付けられています。この制度は、心理的ストレスを早期に発見し、メンタルヘルス不調を未然に防ぐことを目的としています。
質問票への記入とその結果通知が基本的な流れで、結果次第では医師による面接指導がすすめられることもあります。従業員が自分のストレスに気付きやすくなるだけでなく、職場環境の改善につながる貴重なデータとしても活用されています。
義務化の背景
今回の対象拡大は、精神障害による労災件数が過去最多の883件(令和5年度)に達するなど、職場でのメンタルヘルス問題が深刻化している現状を踏まえた措置です。これまで努力義務とされていた50人未満の事業所では、プライバシー保護や実施体制の整備が課題とされていました。しかし、健診機関や外部支援機関を活用する環境が整いつつあることを受け、全企業への義務化が決定しました。
実施に向けた課題
小規模事業所での負担軽減を考慮し、従業員50人未満の事業所にはストレスチェック結果を労働基準監督署に報告する義務は課されません。この措置が負担を軽減する一方で、チェックの実施が形骸化し、結果を基にした改善活動が不十分になる懸念も指摘されています。そのため、相談窓口の設置や従業員が気軽に相談できる体制の構築が求められています。
まとめ
ストレスチェックの全企業義務化は、職場のメンタルヘルス対策を強化し、働く人々の健康と安全を守る重要なステップです。従業員一人ひとりが自分の状態を把握し、企業がその結果を基に職場環境を改善することで、より健全な労働環境が築かれることが期待されます。
労働者にとって安心して働ける環境を作るため、私たちもメンタルヘルスの重要性を再認識し、取り組んでいきましょう。