お盆を過ぎても厳しい暑さが続く日本の夏。しかし、8月下旬から9月にかけては、朝晩の空気が少しずつ変わり始め、季節は確実に秋へと移ろっていきます。この時期、気をつけたいのが「秋バテ」です。夏の疲れが抜けないまま、寒暖差や生活リズムの変化に対応できず、体調を崩してしまう人が少なくありません。
秋バテの特徴としては、疲れやすさ、食欲不振、肩こり、だるさなどの身体的不調に加え、気分の落ち込みや集中力の低下といったメンタルヘルス面の不調も目立ちます。特に現代社会では、仕事や学業、家庭の忙しさと重なって心身に大きな負担となりやすく、注意が必要です。
なぜ秋バテが起こるのか。その原因の一つは「自律神経の乱れ」です。冷房の効いた室内と残暑の屋外を行き来することで体温調整機能が乱れ、心身がストレスを受けやすくなります。また、夏の間に冷たい飲み物や食事をとる機会が多かった人は、胃腸の働きが弱り、そこから全身の不調へとつながりやすくなります。こうした体の不安定さは、心の健康にも直結します。ちょっとしたことで気持ちが沈んだり、イライラが募ったりすることも少なくありません。
では、秋バテを防ぐにはどうすればよいのでしょうか。まず大切なのは「睡眠リズムを整える」ことです。寝苦しい夜が続いた夏に比べ、これからの季節は眠りやすくなります。意識的に就寝・起床の時間を一定に保つことで、自律神経が安定し、心身の回復力も高まります。また、栄養面では、ビタミンやミネラルをバランスよく摂ることが欠かせません。旬の食材を取り入れると、体にやさしいだけでなく、季節の移ろいを感じて心も前向きになります。
そしてもうひとつ意識したいのが「心のセルフケア」です。秋バテは体だけでなく、心にも忍び寄ります。日々のストレスをため込まないために、深呼吸を習慣にしてみましょう。大きく息を吸って、ゆっくり吐き出すだけでも、副交感神経が優位になり、心が落ち着きます。また、短い時間でも「自分だけのリラックスタイム」を持つことが大切です。お気に入りの音楽を聴く、香りを楽しむ、軽いストレッチをするなど、小さな習慣が心の健康を守ります。
秋の訪れは本来、豊かさや実りを感じられる喜ばしい季節です。しかし、体と心の準備が整っていないと、楽しむ余裕を失ってしまいます。季節の変わり目を上手に乗り越えるために、心身の声に耳を傾け、早めの対策を始めてみませんか。