部下からの相談に困らない!メンタルヘルス不調の基礎知識

コラム
はじめに

厚生労働省が発表した令和5年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況によると、過去1年間(令和4年11月1日から令和5年10月31日までの期間)にメンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者又は退職した労働者がいた事業所の割合は13.5%[令和4年調査 13.3%]となっています。

今や多くの職場でメンタルヘルス不調に関する問題が発生していて、会社の上司や人事担当者であれば誰もがメンタルヘルス問題に関する不安を抱えています。
「最近、部下が元気がない」「相談されたけれど、どう対応すればいいかわからない」と感じたことはありませんか?職場でのメンタルヘルス不調は、今や誰にでも起こり得る問題です。しかし、部下から相談を受けた際に適切な対応ができないと、事態を悪化させることもあります。この記事では、部下からのメンタルヘルス不調の相談に困らないための基礎知識や対応のポイントについて解説します。

メンタルヘルス不調のサインを見逃さない

まず、メンタルヘルス不調は身体的不調と異なり、分かりにくい場合があります。そのため、上司や人事担当者として、部下の小さな変化を見逃さないことが重要です。例えば、次のようなサインが見られる場合、注意が必要です。
– 遅刻や欠勤が増える
– 表情が暗く、口数が減る
– ミスや仕事のパフォーマンスが低下する
– 他の社員と交流を避けるようになる
– 体調不良(頭痛や胃痛など)を頻繁に訴える

これらのサインがあった場合、ただの一時的な疲れではなく、メンタル面での不調の可能性を考えましょう。

部下から相談を受けたときの対応ポイント

部下が自ら相談してきた場合、その勇気を受け止め、慎重に対応することが求められます。対応の際に押さえておきたいポイントは以下の通りです。

1. 傾聴する姿勢を持つ
部下が話している間、否定や評価をせずに耳を傾けましょう。「どうしてそう思うの?」といった質問を避け、「そうだったんだね」「大変だったね」と相手の気持ちに寄り添う言葉を使うことが重要です。

2. 秘密を守る
メンタルヘルスの問題は非常にプライベートな内容です。部下の話を他の社員や上層部に漏らすことがないよう、慎重に扱いましょう。

3. 解決しようとしない
上司として「問題を解決しなければ」と思いがちですが、無理に解決しようとする必要はありません。部下にとっては話を聞いてもらえるだけでも十分なサポートになることがあります。

4. 産業医に相談するよう促す
メンタルヘルス不調は、専門家による適切なケアが重要です。職場の産業医に相談するように提案してみたり、産業医の訪問日に合わせて、衛生管理者から産業医に対応を相談するのも一つの手段です。

産業医の活用で安心感を提供

メンタルヘルス不調の相談があった場合、産業医の存在が大きな助けになります。産業医は、従業員の健康管理を専門とし、相談者の状態や会社の状況に応じて適切なアドバイスができます。また、産業医がいることで、職場全体に「安心して相談できる環境」があることを示すことができ、従業員の心の負担を軽減する効果も期待できます。

職場全体でのメンタルヘルス対策

個々の相談対応だけでなく、職場全体でのメンタルヘルス対策も重要です。例えば、定期的なストレスチェックや、社員が気軽に健康相談をできる仕組みを導入することで、早期の問題発見と対処が可能になります。また、管理職自身の健康管理やストレスケアも忘れてはいけません。健康的な職場環境を作るには、管理職が健康であることが不可欠です。

まとめ

メンタルヘルス不調の相談を受けた際、最も大切なのは「傾聴し、寄り添う」姿勢です。部下が安心して話せる環境を提供しつつ、必要に応じて産業医に繋げることが、問題解決への近道となります。また、職場全体でメンタルヘルス対策を進めることで、従業員が健康に働ける環境を実現できます。管理職として、まずは基本的な知識を持ち、積極的にサポートする姿勢を心掛けましょう。それが職場全体の生産性向上にも繋がるのです。

岡山で産業医や健康経営に関する相談があれば、岡山メディカルパートナーにお気軽にお問い合わせください。

健康経営アドバイザー 矢田兼久

 

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